現代美術家、菅野歩美による個展「明日のハロウィン都市」のための会場構成。


会場には「ハロウィンが伝承と化した未来の渋谷」を描いた映像作品と、映像の習作としてのドローイングなど数点が展示される。


既存の壁面への展示が規則上不可だったことから、部屋の中央に、長辺をリア投影スクリーン、短辺2面をドローイングの展示壁とする三角形平面の壁を設えた。三角形はドローイングの展示スペースを確保しながら映像サイズを極力大きくするために提案したかたちであり、壁の内側にプロジェクターを設置して、その周りを回遊する動線計画となっている。また、スクリーンの正面には映像鑑賞用の背もたれ付きベンチも制作した。


そして、このような実用的な要求に加えて、映像に映し出される「未来の渋谷」と、ガラス越しに見える「現在の渋谷」との接続を図ることも会場空間のテーマであった。


街中に建ち並ぶ電光掲示板のような高さ2.7m×幅5.6mの巨大スクリーン、渋谷でよく見られる「Y字路と円筒形建築」を想起させる三角形平面とアールの付いたコーナー、街路と連続する回遊動線、そしてギャラリー空間に開放性を与える長さ7.2mのロングベンチなど、スケール・形態・動線・シンボルによってギャラリー内部を都市空間化することを試みている。



用途 | 展覧会

場所 | 渋谷SACS

面積 | 84.92

期間 | 20236月18日~7月7日

設計・施工 | 小泉立

撮影 | 小川尚寛